おまけ:燭台切光忠の黒歴史と愉快な長船日常
【霍格華茲paro】おまけ極短篇~燭台切光忠的黑歷史與愉快的長船日常~的日文版。
※ 本編のちょうど一年ほど前。燭台切(&小豆&大般若)たちは三年生、山姥切たちは二年生、謙信たちは一年生のときのお話。
※ 光忠が格好悪い。ごめんなさい。
「そこ箪笥の中に閉じ込められているのは何か、当ててみてごらん?」
「ボガートでしょう。」日向正宗の問いに、宗三左文字が答えた。
「正解。では、そのボガートはどんな姿をしているか、知っている人は?」
「それを知っている者はいません。なぜなら、ボガートは形態模写妖怪であり、それに立ち向かう人が一番怖いと思うものに自在に姿を変えることができるのです。」と、教科書に書いたような答えを、へし切長谷部が口にした。
「そう。今やつは、箪笥の戸の外にいる者が何を怖がるのかまだ知らない。よってなんの姿も持っていない……」
日向正宗が講義を始める。
***
「では実際にやってみよう。燭台切光忠、君が先陣ね。」
「オーケー!」
日向正宗が杖を動かし、箪笥を開錠した。すると、箪笥の戸が小刻みに震えて、小さな隙間を開いた。
カタカタ、カタカタと、無数の小さな足が蠢いているような音。
カタカタ、カタカタ。
燭台切光忠が青ざめる。
「えっ、あれ?……なんで……なんでこんなところに……」
カタカタ、カタカタ。黒くて、テカテカで、六本の足と1対の触角をもつ——ゴキブリ。ゴキブリの群れが、箪笥の戸の隙間から、カタカタ、カタカタと姿を現したのだ。
「インセンディオ!」一点も迷いもなく、燭台切光忠が呪文を唱えた。そのチカラ強い声からは殺意すら感じられる。箪笥が炎上する。
教室内は一瞬しんとなった。そしてすぐ生徒たちの爆笑に満ちていく。
日向正宗は杖を一振りして、無言でアグアメンティを使って火を消した。
「光忠、ボガートは不生不死で、非存在だ。だから専用の退治呪文を教えたけど?」
『授業中の先生』のトーンを維持したつもりのようだが、その声に笑いが隠しきれなかった。
「えっ?あっ、ああ!リディクラス!」
***
「うぅ、ううぅ長谷部くん……僕……今最高に格好悪かったよぉ……どうしよう…ううぅ……」
食堂。スリザリンの長テーブル。普段の伊達男ぶりとは打って変わって、燭台切光忠が額を食卓になんどもなんども叩きつけている。長船公爵家の次期当主たるものとしては驚きのテーブルマナーの無さ。
「ふーん。」燭台切に見向きもしないで、へし切長谷部はパンプキンパイを口に運び続けるだけ。
「あつきにいさま、光忠にいさまはどうしたの?」小豆長光を見上げながら、謙信景光が聞いた。
「さっきのやみのまじゅつのぼうえいじゅつのじゅぎょうに、ちょっとあってね。光忠さまがおちこんでいるぞ。」
「ねえ小豆くん、それもう忘れてくれて……頼むから……」
「ああっごめん。——でも光忠さま、いくらおちこんでも、やはりしょくじはとっておいたほうがいいぞ。」
「小豆も早く食え。あれはほっといたらじきに治るさ。」
「まあそうだが……」
「はいはい飯だ飯だ——」
「うう——」
大般若長光によって、ミートボールを口に突っ込まれた小豆長光。それを見た謙信景光は目を輝かせた。
「おっ、ぼくもぼくも、あつきにいさま、あーん。」
口の中のものを咀嚼して飲み込み、小豆長光は微笑みなだら口を開け、謙信景光の差し出した一口のスパゲッティを食べた。
※ 本編のちょうど一年ほど前。燭台切(&小豆&大般若)たちは三年生、山姥切たちは二年生、謙信たちは一年生のときのお話。
※ 光忠が格好悪い。ごめんなさい。
「そこ箪笥の中に閉じ込められているのは何か、当ててみてごらん?」
「ボガートでしょう。」日向正宗の問いに、宗三左文字が答えた。
「正解。では、そのボガートはどんな姿をしているか、知っている人は?」
「それを知っている者はいません。なぜなら、ボガートは形態模写妖怪であり、それに立ち向かう人が一番怖いと思うものに自在に姿を変えることができるのです。」と、教科書に書いたような答えを、へし切長谷部が口にした。
「そう。今やつは、箪笥の戸の外にいる者が何を怖がるのかまだ知らない。よってなんの姿も持っていない……」
日向正宗が講義を始める。
***
「では実際にやってみよう。燭台切光忠、君が先陣ね。」
「オーケー!」
日向正宗が杖を動かし、箪笥を開錠した。すると、箪笥の戸が小刻みに震えて、小さな隙間を開いた。
カタカタ、カタカタと、無数の小さな足が蠢いているような音。
カタカタ、カタカタ。
燭台切光忠が青ざめる。
「えっ、あれ?……なんで……なんでこんなところに……」
カタカタ、カタカタ。黒くて、テカテカで、六本の足と1対の触角をもつ——ゴキブリ。ゴキブリの群れが、箪笥の戸の隙間から、カタカタ、カタカタと姿を現したのだ。
「インセンディオ!」一点も迷いもなく、燭台切光忠が呪文を唱えた。そのチカラ強い声からは殺意すら感じられる。箪笥が炎上する。
教室内は一瞬しんとなった。そしてすぐ生徒たちの爆笑に満ちていく。
日向正宗は杖を一振りして、無言でアグアメンティを使って火を消した。
「光忠、ボガートは不生不死で、非存在だ。だから専用の退治呪文を教えたけど?」
『授業中の先生』のトーンを維持したつもりのようだが、その声に笑いが隠しきれなかった。
「えっ?あっ、ああ!リディクラス!」
***
「うぅ、ううぅ長谷部くん……僕……今最高に格好悪かったよぉ……どうしよう…ううぅ……」
食堂。スリザリンの長テーブル。普段の伊達男ぶりとは打って変わって、燭台切光忠が額を食卓になんどもなんども叩きつけている。長船公爵家の次期当主たるものとしては驚きのテーブルマナーの無さ。
「ふーん。」燭台切に見向きもしないで、へし切長谷部はパンプキンパイを口に運び続けるだけ。
「あつきにいさま、光忠にいさまはどうしたの?」小豆長光を見上げながら、謙信景光が聞いた。
「さっきのやみのまじゅつのぼうえいじゅつのじゅぎょうに、ちょっとあってね。光忠さまがおちこんでいるぞ。」
「ねえ小豆くん、それもう忘れてくれて……頼むから……」
「ああっごめん。——でも光忠さま、いくらおちこんでも、やはりしょくじはとっておいたほうがいいぞ。」
「小豆も早く食え。あれはほっといたらじきに治るさ。」
「まあそうだが……」
「はいはい飯だ飯だ——」
「うう——」
大般若長光によって、ミートボールを口に突っ込まれた小豆長光。それを見た謙信景光は目を輝かせた。
「おっ、ぼくもぼくも、あつきにいさま、あーん。」
口の中のものを咀嚼して飲み込み、小豆長光は微笑みなだら口を開け、謙信景光の差し出した一口のスパゲッティを食べた。
留言
張貼留言